秋の涼しさ(FF1)

                 2021.9/06

「む……?」
 意識が浮上する。うっすらと目を開ければ、窓から射し込む朝日が眩しい。それより、なぜかすごく肌寒い。ガーランドは寝着のままぶるっと身を震わせた。
 肌寒く感じるのも当然だった。目を開けると、確かに昨夜はかけていたはずの掛布がなくなっている。
 今朝は秋のはじまりを感じる涼しさだった。ついこの前までは、朝から汗だくになるくらいの暑さだったというのに。まだ夏気分でいた状態で、急なこの涼しさは身に堪える。
 掛布を手繰り寄せようとするが、なんらかの力によって阻まれた。肩越しに振り返ると、掛布を握りしめながら丸くなって眠っているウォーリアがいる。背中をぴったりとガーランドにくっつけて眠るその姿は、まるで猫のようだった。
「寝相の悪い奴め……」
 よく見れば、ガーランド自身は寝台の端ギリギリまで追い詰められている。あと少し目が覚めるのが遅ければ、確実に床へと落とされていたのではないか。
 つい先日までは暑いからと掛布をかけても蹴飛ばされていたというのに、今度は背中で追いやられたか。これでは冬場の想像が容易い。ガーランドは大きな欠伸をしながら考えていた。
 ウォーリアにくっつかれた背中がじんわりと暖かい。この暖かさはウォーリアの体温なのか。すよすよと気持ちよく眠るウォーリアの寝姿を肩越しに眺めていたガーランドは、大きな溜息をついた。同時にウォーリアを強く抱きしめる。
「ん、がーらんど?」
「もう一度寝ろ。儂も寝る」
 寝台から落ちることも、また落とされることもないように、温かいウォーリアを包み込んで二度寝を決め込むのだった。せっかくの休みの日に変に起こされてしまったガーランドは、躰の冷えをウォーリアで温めてもらうのだった。

​                    ──了