繋いだ手(FF1)

                2020.1/23

……寒い。
 ふたりで歩く夜の街道で、急に風が吹き荒れた。あまりの強風と風の冷たさに、私は思わずガーランドの手首を取ってぎゅっと掴んでしまった。本当は手のひらが良かったけど、恥ずかしくて躊躇ってしまい、それはできなかった。
「……どうした?」
「なにもない。早く……帰ろう」
 ガーランドは私をじっと見下ろしてくる。ぎゅっと手首を掴んだまま離さない私をどう思ったのだろう。
 ガーランドは私の手を包み込むように、大きな両手で握ってきた。
「寒いのならこうしてやろう」
 どうやら、私の意図は完全に見抜かれていたようだった。私は全身が朱く染まっていくのがわかった。もう、寒くないと思えるほど、身体は火照っている。
「温もったようだな。……帰るぞ」
「……ッ⁉」
 ガーランドは片手を離すと、残した片手で恋人繋ぎとやらをしてくれた。恥ずかしくて、ガーランドの顔を見ることもできない。
 だけど、しっかりと手を握りなおしてくれたガーランドの手のひらも、私と同じくらい熱いことに気付いて……私は身体だけでなく、心まで温まっていくのを感じた。

                    ──了