はじまりと終焉(DFF)

                2022.10/17

 はじまりは些細なことであった。
 別の次元でかつて、儂は負の輪廻に囚われてしまった。大いなる意思はそのような状態の儂を見つけ、この命と引き換えに……ひとつの役割を課してきた。
 それはとても残酷なものであった。この世界を監視し、カオスとコスモスを争わせる。という、救いようのない役割を──。

 すべてはカオスの持つ混沌の力を育て、そして……究極の兵器として作りあげるためのものであった。

 儂の輪廻は終わらぬ。あれが……彼奴が儂である限り。
 しかし、それもまた面白いかもしれぬ。カオス神殿に降り立った、ひとりの青年の姿を見て以来、儂はそのように考えるようになっていった。
 あの青年は秩序勢のもとへ連れていかれたが、やがては儂に刃を向けるようになるであろう。

 そして、青年は秩序をまとめる戦士として、儂のもとへ現れるようになった。だが、まだまだであった。儂の相手をするには、経験が足りぬ。
 儂は何度も青年を手にかけた。だが、青年は肉体を消滅させることなく、儂に何度も勝負を挑んでくる。
 不思議なことに、青年を見ていて儂の心にひとつの変化が訪れた。儂と対をなす光の戦士として、青年が成長していくさまを見ていくことこそが、この世界での唯一のものとなっていったのだ。

 たとえ未来に希望を見出すことができずとも、そのためにも、せめて今を楽しむことにする。青年を光り輝く戦士として、儂の手で導いてやるためにも……な。
 そして、終わりなき戦いの……終焉を見届けるためにも──。

                    ──了