朝の起こし方(FF1)

                 2020.10/27

「起きろ、ガーランド」
 珍しく朝寝坊なガーランドを起こそうと、私はゆさゆさとその大きな身を揺すった。だけど、掛布に包まれた大きな躰はびくりとも動かない。
 どこか具合でも悪くしているのだろうか。揺さぶっても起きないことなど、これまでに一度もなかった。むしろ私のほうが起きることができず、ガーランドより起きるのは遅いというのに……。あまりに心配になり、私はガーランドの顔を窺うようにそっと掛布を上に持ち上げた。ガーランドは目を閉じている。それほど熟睡しているのだろうか。
「熱は……ないか」
 ひたい同士をぴたりとくっつけて熱を測る。寝起きのガーランドは体温が高いから間違えてしまうこともあるが、今回は大丈夫そうだった。ただ眠いだけなのだったら、もう少し寝かせてやろう。騎士団のことは……本人に任せておこう。
「っ、」
 ひたいをくっつけたままでいたから離れようとすると、腕を捕まれぐいっと引かれた。そのせいで私はガーランドの大きな躰に覆い被さるように乗っかってしまった。体勢的におかしい。私はガーランドの躰から下りようとした。このままではガーランドが起きたときに、なにを言われてしまうか……。
「……朝から大胆だな。儂の寝込みを襲うか」
「ちが……っ、んっ、」
お前がしたんだろう。言いたいが言えなかった。ガーランドから下りるつもりでいたのに、さらに腕を引かれてしまった。ガーランドと見つめ合う状態になり、とても気まずい。もしかしたら、ガーランドは……起きていた?
「あのような熱の測られ方をすればな。いろいろな面で起きてしまうわ」
だから、責任をとれ。ちゅっと軽い口づけを受け、私の頬は急速に熱を持った。ガーランドの意図することがわかってしまったからだった。
「〜〜〜〜っ⁉ 昨夜もしただろうが‼︎」
「あれしきで儂が満たされるとでも? 儂をこのように起こした責任……お前のカラダで返してもらおうか」

 こうして、私は朝から美味しくいただかれてしまったわけだが……決してこの状況が嫌とは感じないあたり、私は相当ガーランドにまいっているのだと思う。もちろん、ガーランドだって私に──。

                    ──了