2022.8/26
同性であるというのに、この青年の手は不思議なほど冷たく滑らかで……そして、清らかでもあった。青年の手を素手で握って、考えてはならぬことが儂の頭の中を掠めていく。
──この青年の出自がクリスタル鉱石だから、など。
儂の手が乾燥してかさついておるのも原因かもしれぬ。これの手のひらから爪や指の先端まで確かめるように触れては撫でていくと、パシッと勢いよく振り払われた。見れば、青年は眉を歪ませて儂を睨んでおる。
「いつまで……触っているつもりだ」
この手の主である青年──ウォーリアオブライトと目が合ったことで、儂は吃驚する。普段は氷のような冷たい無表情の青年が、眉を歪ませておっただけではなく、頬を朱く染めておるではないか。どうしたことかと考えておったら、青年は告げてきた。
「おまえの触り方は……その、」
「……」
頬を染めたままで少し伏し目がちになった青年に、儂はすべてを察した。そういう意味ではなかったのだが、まあよい。
誤解をされてしまったのなら、そのとおりにしてやろうではないか。儂は頬を染めた青年に、そのまま覆い被さった──。
──了