2019.8/11
程よい大きさの桃がふたつ。いや、それよりもう少し大きいくらいかもしれない。
黒のアンダーの下にある、白の清楚な下着に隠された先にある、秘密の桃がふたつ。白の下着があってもよくわかる、たゆんと大きく揺れる、キメの細かい白の柔肌が視界に入る。ゴクリ、ガーランドは息を呑み、完全に思考は停止した。
女性の躰を見たことがないわけではない。重ねてきた年齢というものは、嫌でも経験もともに重ねてくる。女性の身体の仕組みは熟知しているし、標準的な胸の大きさもだいたい理解しているというもの。
しかし、実際にここにあるものは、これまでに目にしてきたものの比ではない。大きすぎず小さすぎずの、まさにちょうどいい大きさだった。思わず触れることを躊躇してしまうほどには、ガーランドにしっくりくる。
「まさか、な……」
普段は躰の線が全く見えることはない。当然だった。ウォーリアは常に青の重鎧を身にまとい、黒のアンダーで完全なまでに隠してしまう。
そのために、こうして鎧を剥いでみるまで、女と気付くことはなかった。サイズの合わない白の下着に隠された膨らみは、零れそうなほど窮屈そうにしている。気付いたガーランドは、ぐぅと小さく唸った。
「……どうした。なにも……しないのか?」
震える不安げな声に、ガーランドはハッと現実に引き戻された。これまでウォーリアの身を何度と暴いてきた。
此度のウォーリアもその覚悟はできているのだろう。たとえ、記憶がなくとも、その身体の深層はガーランドにされてきたことを覚えているのかもしれない。
……落ち着け、己が落ち着かぬでどうするか。
そう、自身に言い聞かせるが、いかんせん、ガーランドのほうも動揺が収まらない。いつものように、青年の身を暴くつもりで組み敷き、鎧を剥いだ。そして、驚愕し、目を見開かせた。兜がなければ、どのような間抜け面を晒したか……ガーランドは安堵していた。
「……貴様が女であったとはな」
なんとか絞り出した声は少し掠れていた。情けない、そう思うのも仕方のないことだった。目の前で下着姿を晒すウォーリアが、実は女だとは……鎧を剥いでみるまで夢にも思わなかった。
蹂躙目的で青年の身を剥いだつもりだった。しかし、中身がここまでの極上な美女であれば、逆に手を出すことを憚られてしまう。ここまでのことをしておきながら、これからをどうしようか。このまま何事もなく帰してやるか、最後まで奪い取ってやるか。柄にもなく、ガーランドは思案していた。
「ガーランド……」
そんなガーランドの思惑と葛藤はいざ知らず、ウォーリアは頬を僅かに染めてこくりと頷いた。
「これは、わたしが望んだことだと言えば……」
お前はわたしに触れるか? 微かに震える腕を伸ばしてくるウォーリアの腕を首にまわさせた。ここまでしてくるウォーリアの気持ちを汲み、ガーランドも意を決して、ふるんと揺れる下着の留め具を外していく。
たわわに実る大きすぎない桃の果のような柔い胸にそっと触れると、両の手の指が胸に埋もれてしまう。それくらい、両の胸は柔らかかった。
「……ここまでとは」
女性経験がないわけではない。しかし、この胸は今まで触れてきたことのない、まるでこの世のものではないような甘美すぎる柔らかさを持っている。思わずガーランドは感嘆の声を洩らしていた。
「……大げさだ」
ウォーリアは全身を紅潮させた。白い肌に朱が映える。まるで全身が本物の桃の果のように、ウォーリアは朱く染めあげていく。ガーランドが舌なめずりしてウォーリアに喰らいつくのは……もうすぐのこと。
Fin