忘却(DFF)

                 2019.10/18

「貴様に伝えたとて忘れてしまうのであろう」
「どうして……そう、言いきれる」
「ふん、いつものことだ」
 この男がなにを言っているのか……私にはわからなかった。いったい、私はなにを忘れてしまうのだろうか。
 それでも、命の消えゆく私を抱き留めるこの男の双眸は、とても優しいものだった。